センター長
先端がん治療センター
教授 田村研治

2020年6月1日付で島根大学医学部附属病院、先端がん治療センター長を拝命いたしました。先端がん治療センターは、がん患者さんを対象に最新の医療を提供し、診断、治療、サポートケアを含む包括的ながん医療を推進します。

島根大学医学部附属病院内の業務としては、先端がん治療センター病棟(C8病棟)や外来化学療法室の運営、がん化学療法部会やレジメン審査委員会の統括、キャンサーボードの取り纏めなどを行っています。

現在のがん治療においては、ロボット手術や、高精度放射線治療など急速な技術の進歩がみられます。又、患者ごとの腫瘍検体における遺伝子の情報をもとに、抗悪性腫瘍薬を選択する「がんゲノム医療」についても保険医療が可能になりました。これらの新しい技術から得られる恩恵をがん患者さんに適正にもたらすには、各診療科や医療スタッフの職種を超えた情報共有と協力が必要となります。各症例の治療方針を診療科の垣根を越えて議論する「キャンサーボード」は集学的治療の実践にきわめて重要です。

今後、高齢のがん患者は増加します。その治療方針は、体力、臓器機能、合併症、脆弱性(フレイル)によって大きく変わります。又、最近は治療に対する患者の自己決定権についても重要視されています。

島根県内のがん対策の仕事も行っております。島根県には、事務局を島根県におく「がん対策推進協議会」と、事務局を島根大学医学部におく「がん診療ネットワーク協議会」という2つの組織があります。先端がん治療センター長である私は、両方の委員長です。

「がん対策推進協議会」の部会としては、1次予防、2次予防(がん検診)、緩和ケア、がん患者家族支援、AYA世代がん対策、小児がん対策があります。又、「がん診療ネットワーク協議会」の部会としては、がん診療部会、がん生殖医療ネットワーク、がん登録部会、緩和ケア研修委員会、がん相談員実務担当者会があります。

がん対策の主な実施施設はがん拠点病院です。都道府県がん診療連携拠点病院である島根大学医学部附属病院と、5つの地域がん診療連携拠点病院との連携が必要です。

最近の話題は、コロナ禍におけるがん対策、がん生殖医療、小児・AYAがん、がんゲノム医療、高齢者がん医療などです。世界、日本のがん医療に関する情報を共有しながら、島根県の状況に即したがん対策を進めていくことが重要です。

がん患者さんの治療、生活がよりよいものになるように取り組んでまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。